大嫌いな会社の送別会スピーチで思い出を語った話

新卒で入って5年間勤めた会社を辞めるときに送別会の挨拶でやらかしたので、そのときのことを書きます。

飲み会苦手

うちの社風は縦割り・体育会系、一方私は大学時代彼女も作らずアニメばかり観てるタイプでしたので、やはり飲み会なんかは本当に苦痛でした。
大体起こることはこんな感じです。
・立ってしゃべらされる
・しゃべらされるのに横ヤリ、野次入ってくる
・彼女いないことをいじられる

入社当初、新人歓迎会を開いていただいたときなんかも、やな感じのフリに嫌気が差して態度に出し、その後の二次会も行かず、一部の過激派(すみません)に非常に悪印象を与えてしまうなど、最悪の滑り出しでした。
その後は少しずつ過激派含め他の方々とも少しずつ打ち解けていったのですが、やはり酔っ払った過激派たちには最後まで歩み寄ることができませんでした。

かっこ悪い思い出

飲み会が苦手で気難しい僕ですが、二次会に参加することもありました。
すると例によって「若手になんかしゃべらそう」という指令が下り、若手のみなさんが一人ずつ公開処刑されていきます。
例えばある程度まじめにに抱負とかをしゃべったり、またはアイスブレイクのために休日の楽しみを共有するとか、そんなスピーチなら良いと思います。しかし彼らはそうではなく若手をバラエティのようにまわしたいように見えました。ただ素人で加減分かりませんから、不当にプライドを傷つけるイジリばかり。
そういうとき、ついつい話を聞いてくれる人に甘えてしまいます。となりにいたベテランの先輩さんに話しかけました。「これって面白いんですか?」
ベテラン先輩さんは不思議な人でした。少しシャイな雰囲気で落ち着いた態度をくずさないのですが、宴会で100円ジャンケンを突如始めて仕切るなど、宴会のムードメーカーでした。
彼は「まあまあ苦笑」と答えて公開処刑の様子を見ていました。
僕は自分の番が来たら「つまらないので、帰ります」と言う気でいました(本気です。それくらい僕はガキンチョです)。
いよいよ自分の名前が呼ばれた瞬間に、ベテラン先輩さんが立ち上がって別のことを演説し始めました。宴会は若手しゃべるモードからベテラン同士の内輪ノリモードに変わっていき、僕は事なきを得ました。僕はすごいかっこ悪くて、ベテラン先輩さんはすごいかっこ良くて、心に残る思い出となりました。

送別会にてベテラン先輩さんにお礼

自分が退社する送別会で挨拶をすることとなりました。話しベタできれいにまとめた挨拶はできないと思ったので、社会人として成長できたーとか今後も課の繁栄を願いますーとか、そういうのはやめようと思いました。
最後になにか小さなことでいいので本当に思っていたことだけ話そうと思いました。そこで小さな思い出話としてベテラン先輩さんに言えてなかったお礼を言おうと決めました。さくっと終わらせるつもりだったのですが、本当に思っていることを言うのはおそろしいものです。泣いてしまいました。
プライド混じりの劣等感とかベテラン先輩さんへの憧れとか、自分がひた隠しにしていた心中をさらけ出したことで感情がブワっと外に出てしまいました。

若手先輩の涙

送別会が終わった後、一人若手の先輩が話しかけてきました。彼女はこういいました。「あの飲み会つらいよねー、私トイレでひっそり泣いたもん」
僕からみた彼女はとても優秀な先輩です。臆することなくベテランに意見を出し、淡々と仕事を進めていく。飲み会でも積極的に上司に話しかけたり、あまりしゃべらない人に質問を振ったりととても細やかな振る舞いをする人です。そんなにがんばっている彼女がトイレでひっそり泣くのです。僕は怒りが湧いてきました。
上の人は上の人で言い分があるだろうけど、ここまで一人の若手社員が負担負う義理ない。

かっこ悪くても主張する

過激派の鬼フリ、ベテラン先輩の気遣い、若手先輩の涙を知って、これから自分がしたいことは、主張することです。
いままで書いた嫌なことは無神経(過激派)と声の小さい人(若手先輩)で出来上がっているのが分かりました。そのなかで、ベテラン先輩の振る舞いはすばらしいです。僕も真似したいですが、それだけでは満足できません。
やっぱり嫌なことを嫌って言いたいです。今の僕は29才にしてまだガキっぽい主張しかできません。すこしずつ改善していって、穏やかだけど、言うことは言う人になりたいです。
生意気ですが、僕の目標は過激派のように傷づくことを忘れるのではなく、ベテラン先輩のように傷つくことを回避するのではなく、若手先輩のように傷つくことを受け入れるのではなく
自分らしく傷つくことを主張するひとです。

以上です。ありがとうございました。